労働分配率について
経営者の悩みの一つとして、従業員の給与額の設定があるかと思います。
経営的には人件費は低ければ低いほどいいでしょうが、長期的に従業員に活躍してもらうためにもある程度の給料を約束することは重要です。
そのような時に一つの目安となるのが「労働分配率」です。
労働分配率とは?
労働分配率(%)は人件費÷付加価値×100で表すことができます。付加価値とは概ね粗利のことです。
一般的に労働分配率の値は、30%~70%と言われています。かなり幅がありますが、人手を要しない業種ですと30%・40%程度、労働集約型の業種ですと60%・70%程度と、業種によって異なります。
同業の平均と自社の数値を見比べてみて参考にしてもよいのですが、会社により商品や体制、仕事の仕方が違うため、自社の数値をできるだけ細かく分析し、常に過去と比較して現時点での状況が適切であるかを確認していくのがおすすめです。
労働分配率が高くなる要因
労働分配率が高くなるということは、一般的に経営状況が悪くなっていると捉えられます。
労働分配率が高くなる要因としては、人件費が高くなっているもしくは付加価値(=粗利)が低くなっているかです。労働分配率を低くするために人件費を抑制しようとすると従業員のモチベーションが下がり生産性も下がりかねません。
リストラなどを行うと無用なトラブルが生じる恐れもあります。経営状況を改善させるため労働分配率を低く抑えようと思うのであれば付加価値(=粗利)を上げる努力が必要でしょう。
さらに言うと、付加価値を上げることにより労働生産性が向上すれば、その労働生産性の伸び率の範囲で社員の給料を含む人件費を上げることが可能になります。
そのことによって従業員の意識やモチベーションが上がって、そしてまた付加価値が上がるという好循環にもっていくことができれば理想的でしょう。