譲渡制限株式の設定とポイント
ここでは、譲渡制限株式についてご説明いたします。
一般的に「株式」と呼ばれている株式は、会社法上では、「普通株式」のことを言います。通常、ひとつの株式には、株主総会の議決権や配当を受ける権利など、原則的に平等に付与されております。
しかしながら、2006年5月からの新会社法では、種類株式という制度を通じて、「配当を多く受け取る設定」や「議決権を制限する設定」などが出来るようになりました。この種類株式のひとつが、「株式の譲渡に制限を付ける設定」ができる譲渡制限株式になります。これは非常に安心感があるので、ほぼ全ての小企業で設定されております。
譲渡制限株式にするメリット
譲渡制限株式のメリットとしては、株主総会での決議を経なければ、勝手に譲渡や売買ができないことが、大きなメリットとなります。たとえば、仲良し3人組で、100万円ずつ出資して会社設立をしたとします。しかしながら、設立1年後にメンバーの1名と経営方針が合わなくなってきてしまったとします、この時に、メンバーの1名は自分の出資分の株式を勝手に第三者に売ってしまったりすると、3人で始めた会社にも関わらず、まったく知らない人が経営に口を出してくるようになってしまいます。
そうなると困るので、小規模の会社においては「譲渡制限株式」にしておいて、株式譲渡は取締役会の承認を必要とすると設定して事業運営の安定化をはかるのが一般的です。このように、譲渡制限株式の設定により、創業メンバーと全く無関係の人が知らない間に株主になってしまうというような事態を予防することができます。
ちなみに、全株式に譲渡制限が付いている会社は「非公開会社」と呼ばれます。
出資者が自分1人である場合にはあまり意味がないと思われるかもしれませんが、非公開会社にだけ認められている規定(例えば、取締役などの任期を10年まで延長することができる)も多くあります。
特別な理由があれば別ですが、小規模な会社なら全株式に譲渡制限を付けることをお勧めします。実際には、上場企業が子会社を作る場合などを除いて、一般的な会社であれば、おそらく95%強の会社に譲渡制限の設定がされております。